死者の書 [ファンタジー]
不思議な流れのストーリーを描く作家です。結構ダークで結末の後味も悪い。が、読後感はなぜかすっきり。作家力?
典型的なジョナサン・キャロル型の物語です。デビュー作です。
人生に挫折しかかった主人公が、憧れの作家の伝記を書こうと住んでいた町を訪ねる。そこにいる住民たちは人が死んだり、出来事が起こるたびに、そのことを知っているかのように振舞う。
作家の娘と交流を深めながら彼の人生を紐解いてゆくと・・・・・
前半は近代アメリカ文学調で、なんとなくジョン・アーヴィングやサリンジャーを思い出します。人生にくよくよした感じで、なかなか進まない。テーマは【自己確立?】ですかねぇ・・・・
後半、波に乗り始めるとローラーコースターさながらの急転直下に物語は進み、突然の悲劇と驚愕の結末。
何度読んでも楽しめます。ほんとにオススメ。
リプレイ [ファンタジー]
「あのときに戻れたら」、「もう一度人生をやり直せたら」。
皆さんも一度は考えたことありますよね?(僕は何度も、というか結構しょっちゅう。)
43歳のおじさんが、ある日発作に倒れて気がつくと18歳に戻っていたというお話です(記憶や知識は43歳のまま)。
記憶があるので当然未来予測ができるので、投資やギャンブルで大金持ちに。今度は幸せな人生・・・・・
と、これだけだと誰もが思いつくのですが、この話の面白さはここからです。
繰り返した人生で、43歳を迎えるとまた発作が起こってまた18歳に・・・・を繰り返します。
この小説のテーマは「人生の価値」「予測不能の未来の価値」でしょうか。
作り上げたものはリプレイが起こると消えて無くなります。富も人間関係も、そして子供も。
主人公は繰り返す人生のループの中で、孤独や虚しさに苦悩します。そして自分と同じリピーターを探し出し、何かを変えようともがきます。
重たいテーマを意識しなくてもエンターテイメントな作品としても楽しめます。(最後はハッピーエンドですし。)
けっこう古い本ですが、精神的に疲れたときに読むと、ちょっと前向きになれます。
学生のころに本屋さんで平積みされていたのを何気なく取った(買った)のですが、お気に入りになりました。
ちなみに物語の中で仲間のリピーターが語る物語は、スピンアウトして別作品になっています。(紹介はまたの機会に)