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死者の書 [ファンタジー]

死者の書 (創元推理文庫)

死者の書 (創元推理文庫)

  • 作者: ジョナサン・キャロル
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1988/07
  • メディア: 文庫

不思議な流れのストーリーを描く作家です。結構ダークで結末の後味も悪い。が、読後感はなぜかすっきり。作家力?

典型的なジョナサン・キャロル型の物語です。デビュー作です。

 人生に挫折しかかった主人公が、憧れの作家の伝記を書こうと住んでいた町を訪ねる。そこにいる住民たちは人が死んだり、出来事が起こるたびに、そのことを知っているかのように振舞う。

作家の娘と交流を深めながら彼の人生を紐解いてゆくと・・・・・

 前半は近代アメリカ文学調で、なんとなくジョン・アーヴィングやサリンジャーを思い出します。人生にくよくよした感じで、なかなか進まない。テーマは【自己確立?】ですかねぇ・・・・

後半、波に乗り始めるとローラーコースターさながらの急転直下に物語は進み、突然の悲劇と驚愕の結末。

何度読んでも楽しめます。ほんとにオススメ。

 


リプレイ [ファンタジー]

リプレイ (新潮文庫)

リプレイ (新潮文庫)

  • 作者: ケン・グリムウッド
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1990/07
  • メディア: 文庫

「あのときに戻れたら」、「もう一度人生をやり直せたら」。

皆さんも一度は考えたことありますよね?(僕は何度も、というか結構しょっちゅう。)

43歳のおじさんが、ある日発作に倒れて気がつくと18歳に戻っていたというお話です(記憶や知識は43歳のまま)。

記憶があるので当然未来予測ができるので、投資やギャンブルで大金持ちに。今度は幸せな人生・・・・・

と、これだけだと誰もが思いつくのですが、この話の面白さはここからです。

繰り返した人生で、43歳を迎えるとまた発作が起こってまた18歳に・・・・を繰り返します。

 

この小説のテーマは「人生の価値」「予測不能の未来の価値」でしょうか。

作り上げたものはリプレイが起こると消えて無くなります。富も人間関係も、そして子供も。

主人公は繰り返す人生のループの中で、孤独や虚しさに苦悩します。そして自分と同じリピーターを探し出し、何かを変えようともがきます。

 

重たいテーマを意識しなくてもエンターテイメントな作品としても楽しめます。(最後はハッピーエンドですし。)

けっこう古い本ですが、精神的に疲れたときに読むと、ちょっと前向きになれます。

学生のころに本屋さんで平積みされていたのを何気なく取った(買った)のですが、お気に入りになりました。

 

 

ちなみに物語の中で仲間のリピーターが語る物語は、スピンアウトして別作品になっています。(紹介はまたの機会に)

ディープ・ブルー (角川文庫)

ディープ・ブルー (角川文庫)

  • 作者: ケン グリムウッド
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1997/08
  • メディア: 文庫

 


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